はじめに

才能も無い、毛並みも良くない、経験も自慢できるほど無い、かといって努力も特にしているわけでもない。無い無い尽くしの人間が「偉そうに」とお叱りを受けるやもしれませんが、私の考えています建築について述べさせて頂きましたので、ご覧いただけましたら幸いです。又、不器用で口下手ときていますから、作品を数多く作ると言うより は、一つ一つ心を込めて創ってゆきたいと考えております。


建築とは
建築とは“人間が創る器”であり 生命・健康及び財産の保護を図るだけではなく、真に人間の幸福に貢献できる『精神』 『思想』 『理念』といった哲学を持ち 『心』『五感』に響くことが必要だと考えています。
大量生産された物とは違って、唯一の土地に用途・目的及び特性に応じた唯一つの建築“一点物”を自然素材や加工品・工業製品を使って、建築に携る全ての人々の知識やエネルギー・技術を結集して、創り出す事が本当の建築だと思っています。
伝統とは
私が考えている伝統とは、簡単に述べますと、大きく二つに分けることが出来ます。一つは、意匠や形式・工法や材料等を含めて伝統を忠実に再現するもので、復元や歴史的価値の高い建築物の写し等であります。
もう一つは、伝統建築の持った精神性を良く踏まえ、尊重した上で新しい感性や思想で建築を創ってゆく事です。名高い建物も、当時としては意匠や形式・工法や材料、並びに精神性も含めてそれまでにない斬新なものであったり、発展し続けてきた結果が今日に至って数奇屋・侘び寂びといったように、日本人の心に深く浸透し日本の美意識の真髄となっている訳です。
私が手掛ける建築では、必要が無い限り形だけの伝統に囚われた建築ではなく“現代に於ける日本建築とは”ということを常に考えながら仕事に当たってゆく所存です。


宗教や陰陽五行・家相等について
ませんが、最近もてはやされる陰陽師の陰陽道であるとか、家相や風水に特に精通している訳でもありません。強いて言えば興味が若干ある程度のの事で、こだわってはいません。
建物に大切な事は、人間が休養・睡眠・仕事等の日常生活は元より精神的・思想・人間形成・憩いの場として中心的な役割を果たす器である為には、どういうことが必要なのかということで、夫々の建築家の思想にようるところです。
私は、過去・現在・未来の時間的な広がり、東西南北・上下の空間的な広がり、言い換えれば世界観・宇宙観が必要であると考えています。



 
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